床屋で妻への謝罪文を書く

いま、床屋にいる。

12時開店で12時10分に到着したら、もう4席が満席でしかも二人並んでいる。二人もだ！なにがどうなっているか理解に苦しむ事態だ。

許せ妻よ、予定していた待ち合わせ時間に絶望的なほど間に合わないことに対する怒りはわかるが、これは自分だけと責任ではないとも言えるのだ。

つまり床屋の集客力があり過ぎることがいけないのだ、腕が良くて有名店なことがすべて罪、そう諸悪の根源なのだ。

しかも、うっかりしたことに本日は祝日、敬老の日だということを忘れていたのだ。

許せ妻よ、祝日であると朝一で床屋が混み合うことに想像力が及ばなかった自分のこの呑気さを。

それにしてもだ、10分の差で待ち時間が30分加算されることになんて、あまりに酷い。30分もあれば色々できるじゃんないか！と予約制度を採用していない床屋に対して、まず御門違いな憤りを心の中でブチまけたあと、やはり全ては家を出ようとした瞬間に便意を催して、トイレに舞い戻ってしまった10分間にすべての因果がある、すなわち呪うべくは自分のお腹の緩さということになる。

しかし、いくら妻と言えども、人の生理現象にまで目くじらを立てて、その結果としてまねかれた遅刻について糾弾することは出来ないのではないか。

そういうことを、考えつつ失った10分間を取り戻すべく、初めてスマホから駄文かつ謝罪文をはてなブログにアップするという試みに勤しんでいる……、失われた時を求めて。

 だから、そんなに怒らないでくれ私の愛する妻よ。

（執筆所要時間5分、妻に許してもらった後にて）